忘れえぬ情熱 / ジャクリーン・バード
息子さえいれば、幸せだったはずなのに。<br /><br />熱い視線を感じて目をやり、ウィローは釘づけになった。<br />彼女の運命を狂わせたギリシア人富豪、テオ。<br />女性なら誰もが夢中になるような男性に情熱的に求められては、<br />未経験の娘などひとたまりもなかった。まだ18歳だったのだ。<br />だが純潔を捧げたすぐあと、テオに婚約者がいると知らされ、<br />屈辱に震えながら、逃げるように彼のもとを去った――<br />今、テオは目をきらめかせ、自信に満ちた足取りで近づいてくる。<br />あの日に授かった、子どもの存在だけは知られたくない。<br />彼女は内心の動揺を気取られないよう、視線を引きはがした。<br /><br /><br>ジャクリーン・バード
ハーレクイン
2023年10月
ワスレエヌ ジヨウネツ
ジヤクリ−ン バ−ド
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