自己への物語論的接近 家族療法から社会学へ / 浅野智彦
人は自分自身について物語ることで自己を産み、同時に「語り得ないもの」を隠蔽する――。自己の生成・変容を「物語」から読みといた鮮烈な論考集。「自己」とはどのように形成され、どうすれば変えられるのだろうか。実はそれは、私たちが自分自身について「物語る」ことで産み出されているのだ。そして物語がエピソードの選択・配列を伴う限り、そこからはみ出してしまうものも存在する。自己物語はそうした「語り得ないもの」(例えばトラウマ的体験)を巧妙に隠しているのであり、この隠蔽を解除する方向へと物語を書き換えることで、異なった自己を産み出すことも可能になる──。物語論を治療に用いた家族療法(物語療法)から、社会学的自己論は何を学べるか。〈物語〉をキー概念に自己の生成・変容をあざやかに読みといた刺激的論考集。<br>浅野智彦
筑摩書房
2025年04月
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アサノ トモヒコ
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