料理山海郷/料理珍味集 / 博望子

京坂発の江戸料理書。著者は当時最先端の料理情報が集まっていた京都在住の粋人。「見立て」など料理に遊びの要素を盛り込んだ画期として知られる。江戸時代にはさまざまな料理本が出版されたが、本書は料理に味覚だけでなく、遊びの要素を盛り込んだ画期的なものだった。著者は京都東山在住の博望子。素性は不明だが東山には料理茶屋が軒を連ねていたこと、また記述の内容から、料理茶屋の主人か料理人と考えられている。日本各地の食材・調理法に通じていた著者は、それらを用いた自身の創作料理にその地の地名を冠した。いわく、桑名時雨蛤、伊勢豆腐、鳴門煮、越前沖膾、仙台冷物、熊谷でんがく、目黒淡雪、道明寺香物、長崎打鯛、若狭にしん鮓、酒田粥漬、因幡蟹びりじ、甲州打栗──。遊び心満点の江戸創作料理の世界を、ぜひご覧あれ。<br>博望子
筑摩書房
2025年05月
リヨウリサンカイキヨウリヨウリチンミシユウ
ハクボウシ
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