中華とは何か 遊牧民からみた古代中国史 / 松下憲一

統合と分裂を繰り返した古代中国史で「野蛮な夷狄」であるはずの遊牧民が統一王朝を支配した時代も少なくない。巨大帝国を維持し結束させた思想は何だったのか。異民族による巨大帝国支配。<br />天下を統合した思想の変遷に迫る。<br /><br /> “野蛮な夷狄“が新たな中華文明を拓いた<br />中華思想は文明の優劣で人々を区別する発想である。文明のある世界を中華とし、その周辺には野蛮な夷狄がいる。そして夷狄は中華に何も残さなかったものだと長らく考えられてきた。しかし注意深く歴史をみていくと、夷狄であるはずの遊牧民はむしろ中華文明の形成に積極的に関わり、新たに持ち込み、主体的に選別し、継承してきたことがわかる。中華文明拡大の要因は、あらゆるものを内部に取り込んで膨張していく性質にある。逆に言えば、気づけば夷狄も中華になっているのだ。本書は、中国史を遊牧民の視点から捉えなおすことにより、中華の本質に迫る一冊である。<br>松下憲一
筑摩書房
2025年05月
チユウカトハナニカ
マツシタケンイチ
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