個性幻想 教育的価値の歴史社会学 / 河野誠哉

大正期に教育的価値として浮上した「個性」は、一九八〇〜九〇年代の混乱を経て、いかに社会的価値として定着したか。学校教育における個の意識の変遷を探る。なぜ「個性」は人々を惹きつける社会的テーマとなったのか。日本社会は「個性」にどんな理想=幻想を思い描いてきたのか。大正期に教育的価値として「個性」が浮上し最初のブームが起こったあと、一九八〇年代に再ブームが到来。『窓ぎわのトットちゃん』のヒットもあり、臨時教育審議会で「個性化教育」路線が推進される。そして社会的価値として定着したこの言葉は、現在も「障害も個性」のような言説によって論争のタネであり続けている。日本の公教育の歩みに即しつつ、「個性」概念の来歴を振り返る。<br>河野誠哉
筑摩書房
2024年11月
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