「富嶽三十六景」の図像学 狂歌絵師北斎とたどる記紀・万葉集 / 岡林みどり

北斎と西村屋は富嶽三十六景46枚・諸国滝廻り8枚・諸国名橋奇覧11枚を版行。全65枚を北斎の国土論、国史論として読み解く。葛飾北斎と版元の西村屋は「富嶽三十六景」46枚の他に「諸国滝廻り」8枚と「諸国名橋奇覧」11枚の計65枚の景観錦絵を一挙に版行している。そこには公武体制を支える東海道と厳島、竹生島、江の島の三大弁財天が含まれる。本書は、全65枚を北斎の国土論、国史論として読み解く。カギになったのが絵本「富嶽百景」の中に出てくる「ダイヤモンド富士」で、北斎は方位信仰に着目して、鹿島社―富士山―藤原京、銚子―富士山―奈良京、日光―諏訪湖―奈良京、の三つのラインを取り上げ、奈良時代の国土把握の合理性を確認している。<br>その上で、『日本書紀』に出てくる「諷喩・倒語」、によって神名の語義解を行いながら、『古事記』からは、「千字文」冒頭の「宇宙洪荒」の語義をとりだした。そのためには狂歌俳諧に裏打ちされた日本文芸史の理解が不可欠であった。<br>岡林みどり
清水書院
2024年11月
フガク サンジユウロツケイ ノ ズゾウガク
オカバヤシ ミドリ
/