矢部貞治 知識人と政治 / 井上寿一 著
戦争の時代、東大で政治学を講じながら政治にもコミットした矢部。近衛文麿のブレーンとして何を画策し、どう動いたか。生涯から繙く矢部貞治は、政治に直接コミットした最初の研究者の一人だ。東大法学部に助手採用された矢部は、助教授時代の1935〜37年にヒトラー台頭下の欧米に留学、政治の大きな変革を目撃する。帰国後は政治学講座を担うなか、首相として“全盛期”にあった近衛文麿のブレーンとして昭和研究会に参加。現実政治での実践を試み、国内・国際新体制を立案する。<br />敗戦後は自らの責任を感じ東大を辞職。同志を集めて日本再建についての研究を始めた。1950年代半ば以降は、拓大総長、憲法調査会や選挙制度審議会など政府委員を歴任しつつ、またメディアでも積極的に発言を行い、政治の変革を求め続けた。<br />本書は矢部の生涯を通し、日本における政治と知識人との関係を描く。<br>井上寿一 著
中央公論新社
2022年11月
ヤベ テイジ
イノウエ トシカズ
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