あらくれ / 徳田 秋声
わたしは自分の人生をあきらめない<br><br>年頃の綺麗な娘であるのに男嫌いで評判のお島は、裁縫や琴の稽古よりも戸外で花圃の世話をするほうが性に合っていた。幼い頃は里子に出され、7歳で裕福な養家に引きとられ18歳になった今、入婿の話に抵抗し、婚礼の当日、新しい生活を夢みて出奔する。庶民の女の生き方を通して日本近代の暗さを追い求めた秋声の、すなわち日本自然主義文学を代表する一作。<br><br>大杉重男<br>『あらくれ』は、(中略)「歴史」への抵抗としての秋声の小説の在り方を、最も生々しく語るテクストである。お島という1人の女性の半生を淡々と語っているように見えるこの小説は、しかし決して1人の女性の「歴史」ではなく、むしろ「歴史」への抵抗の荒々しいドキュメントとしてある。――<「解説」より><br>徳田 秋声
講談社
2006年07月
アラクレ
トクダ シユウセイ
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