古事記 下 / 太安万侶
下巻は仁徳天皇以下推古天皇までの治世。皇后石之比売の嫉妬に悩む仁徳帝、皇妃すべてを殺害する雄略帝、また豪族社会の葛藤を描く本下巻は、上巻の神話や中巻の神意による初代天皇の誕生、支配権の拡張展開とは異なり、きわめて人の世の色彩が濃い。天皇の妻問いや皇位継承をめぐる反乱、皇子たちの殺害、有力氏族の抵抗・滅亡という波乱万丈の朝廷内部の様相や支配者としての天皇像が鮮明に描かれている。天皇の恋愛、皇后の嫉妬、争闘、謀略の物語はいずれも透明で明るく、素朴な古代人の美しい人間性が生き生きと溢れている。<br>太安万侶
講談社
1984年07月
コジキ ゲ
オオノ ヤスマロ
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