パーフェクトワールド / 田中翠香

「雪屋敷千紘歌集『私の知る海賊たち』からの抜粋である。彼女はあまり有名 な歌人ではなかったが……」のプロローグから、田中翠香の不思議な世界が広がり吸い込まれていく。作者は何と不可思議な短歌観を持っているのだろう。紛争の絶えない世界を背景にモノガタリのような歌集が生れた。(池田はるみ)<br>〈わたし〉は遍在する。それゆえ作者の歌をこの世にあらしめる。素敵なことではないか。「光射す海」を読んだ頃のリアルは、大きな物語の一章でしかなかったらしい。(松平盟子)<br>「ついて来ている?」と、翠香さんは振り向く。「大丈夫!」と答えながら、魅力あふれるダンジョンのような歌集を、わくわくと駆け抜けてゆく。(天野慶)<br>傷跡だらけの世界にも美しさを諦められないのが人間なのだとすれば、それはなんと愛すべき性であろうか。なんとうれしい性であろうか。(挿元おみそ)<br><br>田中翠香
角川書店
2025年07月
パアフエクトワ−ルド
タナカ,スイカ
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