オノマトペの現象学 / 鷲田清一
「ぐずぐず」「ふわふわ」「なよなよ」……様々な言葉の手触りをもつオノマトペたちをまじまじと見つめ、その特性と表現を現象学的に分析する。人のいのちの息遣い、存在の感覚を描き出す鷲田哲学の真骨頂。その強度に言葉が追いつかないときに、ひとは音に音を重ねるのだろうか。それとも、言葉が足りないときにそれをぴたり言い当てようとして、ひとはこのように音感でいっきに意味を凝集させようとするのだろうか。あるいは、どこか逸脱しているところがあるという、そんな違和感をさりげなく表明しておこうとして、ひとはこのように特徴ある音を反復するのだろうか。「へとへと」「よれよれ」「だらだら」「ぞくぞく」「ぎすぎす」……けっして鳴っていないはずの音を言い表す言葉たちが、わたしたちの様子を表現して、読めばすとんと腑に落ちる。そんな不思議な「オノマトペ」を、現象学の視点から解きほぐす鷲田哲学の傑作エッセイ。「文庫版のための、やや長いあとがき」を増補した決定版。<br>鷲田清一
角川書店
2025年10月
オノマトペノゲンシヨウガク
ワシダキヨカズ
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