蛇の神 蛇信仰とその源泉 / 小島瓔禮
原始、人類にとって蛇は最も恐るべき敵であると同時に「偉大なる他者」であった。死と再生、混沌と秩序。アンビバレントなその存在に人は何を託したのか。古今東西の伝承から紐解く「蛇」をめぐる民俗学。人類と蛇との交渉の歴史は古くて深い。世界の諸民族には、蛇に関するいろいろな民俗が知られている。日本にも豊富にある。しかし、家畜や狩猟の対象になる動物とちがって、自然のままの蛇の利用はそれほど多様ではない。大部分は人類が文芸や宗教のなかにえがきあげてきた蛇である。そこにいるのは、「自然としての蛇」をとおして人間がさまざまな価値を与えた「文化としての蛇」である。時に嫌悪され、時に畏怖されてきた、絶対的な他者である蛇。そのような他者なる蛇が人間の文化にもたらしてきた豊饒な世界を民俗誌からひもとく、画期的な書。<br>小島瓔禮
角川書店
2024年11月
ヘビノカミヘビシンコウトソノゲンセ
コジマ,ヨシユキ
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