句集 雨の日 / 宇多喜代子
「厭戦のかたちの葎雨しとしと」「透明な一品をもて夏の膳」「山桜山のさくらと咲き並ぶ」「桜どき足もとにまでものの影」透徹した眼差しで森羅万象を詠み上げる第9句集ひとつぶの雨はひとすじに結ばれて、やがておおきな水のかたまりとなる。<br>「山はおおきな水のかたまり」<br>祖母から教えられた言葉は、自然観と生活信条の礎となった。<br>雨や風や太陽や水、なにより清新な森の匂い――。<br>身辺のものは、みな愛おしく、いつしか当たり前のことを当たり前に詠めるようになった。<br>俳句には退屈がない。<br>「山桜山のさくらと咲き並ぶ」<br>「桜どき足もとにまでものの影」<br>「厭戦のかたちの葎雨しとしと」<br>「透明な一品をもて夏の膳」<br>宇多喜代子
角川書店
2024年07月
クシユウ アメ ノ ヒ
ウダ キヨコ
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