アナベル・リイ / 小池真理子
1978年、悦子は舞台女優を目指す千佳代と出会い、友人となった。彼女は純粋でひたむきで、人気ライターの飯沼と入籍した。友の死の後、飯沼への想いを確認した悦子の周りで奇妙なことが起き始める。一九七八年、久保田悦子はアルバイト先のスナックで、杉千佳代と出会った。舞台女優を目指す千佳代は所属する劇団で、『アナベル・リイ』のアナベル役を代理で演じるが、その演技はあまりに酷く、惨憺たるものだった。やがて、友人となった悦子に、千佳代は強く心を寄せてくる。フリーライターである飯沼と入籍し、役者の夢を諦めた千佳代は、とても幸せそうだった。だが、ある日店で顔面蒼白となり倒れ、ひと月も経たぬうちに他界してしまった。やがて、悦子が飯沼への恋心を解き放つと、千佳代の亡霊が現れるようになる。恋が進展し、幸せな日々が戻って来る予感が増すにつれて、千佳代の亡霊は色濃く、恐ろしく、悦子らの前に立ち現れるようになり――。<br>小池真理子
角川書店
2024年10月
アナベル リイ
コイケ マリコ
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