歪つ火 / 三浦晴海
ソロキャンプにやってきた水瀬友美は、次第にそのキャンプ場の異様さに気付き始めた。昨日と同じ言動を繰り返すキャンパーたち、消えた出口、訝しがる視線。私は確信した――ここにいてはいけない。辛い日常から逃れようと、私は一人でキャンプにやってきた。テントを張り、のんびりご飯を作る。夜はキャンプファイヤーを囲みながら、今日知り合ったばかりの人たちと語り合う。来て良かった。でも、次の日、私はなぜかキャンプ場から出られなくなっていた。しかも、昨夜語り合った人たちは皆、時間がリセットされたかのように「初めまして」と微笑み、昨日とまったく同じ言動を繰り返している。「あなた、大丈夫?」、困惑する私を訝しがる彼らの視線で私は確信した。「ここにいてはいけない、これはダメなやつだ」<br>非日常に囚われる未体験の恐怖を描く、戦慄のキャンプホラー。<br><br>三浦晴海
角川書店
2024年01月
イビツビ
ミウラ ハルミ
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