早川書房刊
ハヤカワポケットミステリ 1174
再版−1972年6月15日発行
新書判・並製・本文223P
発行当時の定価:380円
★内容:
2人の誘拐者は、薄いゴムのマスクをつけていた。卓上ランプの丸い光が、ニール・グリフォンと帳簿を照らし出しており、2人のゴムの顔が、太陽に迫ろうとしている奇妙な月のように、部屋の暗みにぼんやり浮き上がって動いていた。人間を感じさせないゴムの顔のほかは、彼らは頭から足の先まで黒ずくめだった…。
ニールは信じがたい思いだった。ロウリイ・ロッジ厩舎は確かに総額600万ポンドに当たる85頭の名馬を抱え、毎年ダービーの優勝馬を出しているニューマーケット有数の厩舎である。しかし、厩舎をここまで育て上げたのはニールの父の手腕によるもので、ニール自身は競馬については素人の、地味なビジネスマンにすぎなかった。しかも、その父は交通事故で入院中だった。なぜ、誘拐者はニールに狙いをつけたのか?
その疑惑はイタリア貴族を思わせる一味の首領の前に連れ出され、その気違いじみた脅迫の前に晒された時、重苦しい不安に変わった。ニールを厩舎の責任者と見た誘拐者は、ダービーの本命馬アークエインジェルに一味の指定する騎手を乗せること、さもなければ父の留守中に厩舎を破滅させる用意があると告げたのだ!
競馬シーズンとダービー開幕を間近に控え、本格的な仕上げ調教に入った厩舎を襲った恐るべき妄執の影。男の世界を描く白熱の競馬スリラー・シリーズ最新作!
(表紙巻末面の内容紹介文より)
★状態:並下 ※状態表示についてはこちらもご覧ください。
【ビニールカバー】全体にやや強いホコリヨゴレがあり、背の中央部に約1cmのキズ、上下辺には傷み・破れ(約1cm)もあります。
【帯】全体にやや強いヤケ(褪色)・ホコリヨゴレがあり、背の巻頭面側折り目に印刷のワレがあります(破れてはいません)。
【表紙】背周辺に強く、その他も全体的にやや強いヤケ(褪色)・ホコリヨゴレがあります。
【本体】周縁部全体に強いヤケ(褪色)・ホコリヨゴレ・シミがあり、小口面には使用感もあります。
【本文】ページ面の周辺部にかなり強く、その他も全体的に強いヤケ・ホコリヨゴレがあり、強い古び感がありますが、通読に支障はありません。また本文中に線引き・書き込み等はありません。