講談社刊
1刷−1978年9月20日発行
四六判・上製・丸背紙貼り・カバー巻・本文235P
発行当時の定価:980円
★内容:
3年前にカトリックの洗礼を受けた人間だというのに、こんな背徳的な小説や異端的な小説ばかり書いていて、何処かからお叱りを受けそうである。背徳ということはキリスト教の核心に直結していて、むしろ逆説的にキリスト教的なことであるのだが、『秘儀』で試みたような世界は、全く異端そのものと言っていい。だが私は、人間の切実な真実に関するものであるかぎり、作家の試みる探究の一切がキリスト教によって許されるのだと考えている。
この短篇集がまとめられることによって、私にとって、或る時期がしめくくられた気がする。なぜなら、これからはこれまでのような調子では書いていかないだろう。いま、なにか茫漠とした未知数の世界が私の前にひらかれていて、これまでのように文学的な意識だけで生きていく気がなくなってきた。意識を、その未知数のほうへ向けてみたい。
(著者あとがきより)
★状態:並 ※状態表示についてはこちらもご覧ください。
【帯】なし。
【カバー】背部分にやや強いヤケ(褪色)があり、背の左右上部と袖の折り返し線に強いコスレ・キズがあり印刷が一部剥げています。背の上下辺に弱いヨレ・傷みがあり、巻末面の下辺には2mm程度の小さな破れもあります。
【表紙】全体に弱いヤケ(褪色)があり、経年相応の古び感はあります。
【本体】天面にやや強く、その他の周縁部にも弱いヤケ・ホコリヨゴレがあります。本文中の6ページ分の下辺に小さな破れがあり、他に8ページ分の小口に小さな傷みもあります。
【本文】ページ面の周辺部にごく弱いヤケ・ホコリヨゴレがありますが、本文中に線引・書き込み等はなく、また経年ほどに古び感は感じさせず良好な状態です。
【その他】スピン付き。