


著者名:
太田浄文 石橋哲 出版社名:
新興医学出版社
扱う疾患(希少疾患)の種類が多い脳神経内科。本書は、ガイドラインにない・ガイドラインの記載が膨大な症例に対しても、即座に解決策を見つけることができる実践的な薬物療法ガイドです。疾患ごとに分けられた豊富な項目とリアルな治療指針で、難解なケースにも対応できるよう強力にサポートします。忙しくてなかなか検索の時間がとれない先生も、臨床における自信を高め、治療の質を向上できる必携書です。
【序文】
本書は,ガイドラインにはない疾患のリアルな治療をガイドするシリーズの脳神経内科疾患版である。脳神経内科はどの科よりも扱う疾患の種類が多い。つまり希少疾患が多いのである。希少疾患は患者数の多い疾患と異なり質の高いRCTなどを行うことが難しいのでガイドラインの作成も困難である。必然的にケースシリーズやシステマティックレビューなどを参考にして治療方針を決定することになる。それらについて担当医が毎回文献を調べているのでは時間がいくらあっても足りない。本書では無数にある脳神経内科医が扱う疾患の中でもまずは脳血管障害と免疫性疾患に絞って執筆を行った。ただし脳血管障害および免疫性疾患だけでも全体をカバーすると膨大な量になってしまう。そのため臨床医が実際に直面する現場で判断に迷うような疾患や病態に絞って執筆をした。読者らはガイドラインがない疾患に対して「なんとなく正しいだろう」の治療選択から「今ある知見の中ではベストだろう」の治療選択へ一歩進むことが可能になる。
さらにすでに日本脳卒中学会や日本神経学会からガイドラインが作成されている疾患についても扱っている。脳卒中学会や神経学会から出されている診療ガイドラインはとても精緻な記載がなされていて,すでに十分な知識や経験がある脳神経内科医が熟読かつ通読すると素晴らしく理解が深まるが,精緻であるがゆえに慎重に記載している部分も多く,短時間に治療の概要を具体的に知るには難がある。本書ではすでにガイドラインが存在する疾患に関しても筆者達がガイドラインを精読したうえで実臨床に沿う形で治療について言及を行っている点が特徴である。
つまり,本書はガイドラインのない脳神経内科疾患の治療については筆者らが読者の代わりに文献検索とまとめを行って指針を示し,読者の労力と時間を肩代わりしているものである。ガイドラインが存在する疾患についてはガイドラインを踏まえてガイドラインの記載をなるべく簡潔に述べつつ,最良の治療への道標を示すとともに臨床医の具体的な治療の実践をサポートするものである。
本書が臨床神経学にかかわる脳神経内科医の診療の助けに少しでもなれば幸いである。
太田 浄文
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