


著者名:
一海美根 出版社名:
書肆侃侃房シリーズ名等:
ユニヴェール 24 水甕叢書 第924篇
一海美根第一歌集
本当の自分に帰るため空の深さは問いの深さ
人生の岐路に出会った短歌。10年の歳月に、一海さんは確かめ確かめ心を探りながら言葉を引き寄せて、作歌の手応えを掌中にして来た。
コロナ禍、世界情勢の翳り、易からぬ時代の中で、曇りなき目に社会を見つめる清らかさ。問いの深さに空はさまざまに応じる。詩情がゆるやかに作品を広げ、心の結晶はかがやきをまとい読者に届くことだろう。
―春日いづみ(水甕代表)
吉川宏志
この歌集に通底している、周りは暗いけれども静かに動いているという感覚を、私はとても貴重だと思う。
「わたしは誰とじぶんに問ひて」(栞より)
小島ゆかり
闇の深さを全身で感じながら、ひっそりと見開く一人の姿が見える。
「隣のくらがり」(栞より)
そとがはに居ると思つてゐるうちにぬるりといつかわれもうちがは
変へたいと思ふ社会と変はらないわたしの隙間に降る冬の雨
散らかつた心のままに暮れてゆく八月最後のバスに揺られて
水音にふと振り向けば秋がゐて冷えたる吾をぢつと見てゐる
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