別れを告げない/ハンガン/斎藤真理子

著:ハンガン 訳:斎藤真理子
出版社:白水社
発売日:2024年04月
シリーズ名等:エクス・リブリス
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著者名:ハンガン  斎藤真理子 
出版社名:白水社
シリーズ名等:エクス・リブリス

作家のキョンハ(「私」)は2014年の夏、虐殺に関する本を出してから、何かを暗示するような悪夢を見るようになる。何度も脳裏に浮かぶ黒い木々の光景がずっと気がかりで、よい場所に丸木を植えることを思い立つ。ドキュメンタリー映画作家だった友人のインソンに相談し、それを短編映画にすると約束して4年が過ぎた。一人っ子のインソンは、認知症の母親の介護のため、8年前に済州島の村の家に帰り、4年間母親を看病して看取った。キョンハがこの夢の話をインソンにしたのは母親の葬儀の時だった。インソンはその後も済州島の家にとどまることに。キョンハはその間に家族や職を失い、ソウル近郊の古いマンションに引っ越してきた。心身は疲弊し、遺書も何度か書いた。その年の12月、キョンハのもとへ、インソンから「すぐ来て」とメールが届く。インソンは病院にいた。木工作業中に指を切断してしまい、苦痛のとぎれることがない治療を受けているところだった。インソンはキョンハに、済州島の家に今すぐ行って、残してきた鳥を助けてほしいと頼む。大雪の中、キョンハは、済州島のインソンの家に何とかたどりつく。4・3事件を生き延びたインソンの母親が、夢でうなされないように布団の下に糸鋸を敷いて寝ていた部屋にも入る。夢とも現実ともつかない中でインソンがあらわれ、鳥を仲立ちにして静かに語り合う。そこで初めてキョンハはインソンがこの4年間ここで何をし、何を考えていたかを知る。認知症が進んだ母親の壮絶な介護、そして、母親が命ある限りあきらめず追い求めた真実への執念も…。韓国人として初のメディシス賞受賞作。

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