出版社名:
南山堂
ハイハイいつもの降圧薬の処方箋,…って,危機を察知するアンテナの感度が鈍っていませんか??
健康寿命を延伸するためにも,全身の臓器機能を維持・向上させる必要があります.臓器の力をしっかり引き出すためには,十分で適切な血液循環が欠かせません.その血液循環に重要な役割を果たすものの一つに血管があげられます.この大切な血管にトラブルや機能低下が生じたとき,“血圧”の変化として現れる場合があります.“血圧”を通して届く血管の声を無視し続けると,予後に大きな影響を及ぼす疾患につながる可能性もあるため,患者本人も,医療者も,「たかが血圧」と軽視してはいけません.
血管機能に限らず,“血圧”は,循環系や体液調節がうまく働いているかを評価する重要なパラメーターです.高血圧は将来の重大な疾患イベントの予兆であるため,早期からの介入が大切です.しかし,高血圧のみでは生活に支障をきたすことはまれなため,患者さんの自己管理や治療継続へのモチベーションはなかなか上がりません.
また,降圧薬はおおよそ顔ぶれが変わらず,医療者にとっても“いつもの薬”として右から左に受け流されやすい傾向にあります.しかし,血圧の調整には,自律神経系や内分泌系,心血管系や体液調節機構が関与するため,患者背景や状態の変化を見逃し漫然と使用していると,避けられたはずの重大なトラブル(副作用)や重篤な脳心血管イベントの発生を引き起こす可能性があります.
そうなると,降圧薬の処方箋を前に気を緩めてはいられません.薬剤師がしっかり目を光らせておくことで,患者さんの健康上の安全が守られ治療も継続できるということです! 本特集を通じて,降圧治療の流れを改めて整理し,薬学管理に活用できる薬剤師・医療スタッフを目指しましょう.
〈主な内容〉
■甘く見ると結構怖い…?! 血圧のアツいはなし
どうして血圧のコントロールが必要なの?/血圧測定・管理の重要性を患者さんと共有する!/高血圧と診断されたときの治療の流れ
■薬学管理に活かそう! 血圧調節に関わる身体のしくみ
体液量の調節と体液分布/心臓の収縮力と拍動/血管収縮と抵抗
■降圧薬(高血圧治療薬)の特徴の違いを知る!
おもに血管を広げるくすり(血管拡張薬)/おもに体液を調節するくすり(利尿薬)/おもに自律神経系を調節するくすり/妊娠高血圧症候群と降圧薬/降圧薬の処方監査時に注意したい患者背景/降圧薬の使い分け,組み合わせ
■ケースで学ぶ副作用対策,フォローアップのコツ
漫然と受け流さない! 薬学的管理に役立つ降圧治療の目のつけどころ
薬局編:過降圧(低血圧)/心電図異常,電解質異常/浮腫,心不全の悪化/薬局編:腎機能低下
入院編:代謝異常(耐糖能低下,高尿酸血症など)
■コラム:期外収縮の心電図波形/QT延長
※本データはこの商品が発売された時点の情報です。