血液・造血器疾患エキスパートナーシング/堀田知光/安藤潔/横田弘子

監修:堀田知光 編集:安藤潔 編集:横田弘子
出版社:南江堂
発売日:2015年03月
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著者名:堀田知光  安藤潔  横田弘子 
出版社名:南江堂

血液・造血器疾患の治療と看護を解説したプラクティカルテキスト.各疾患ごとに「看護計画」「看護のポイント」を立てたほか,「血液内科看護師に必須の知識とスキル」といった章を設け,熟練の看護師による執筆で看護の内容を充実.フルカラーの顕微像や症例写真,実践写真が多く入り,視覚的に理解できる.血液内科に配属された看護師が知識を深め,よりよい看護を実践することを可能にする一冊.

【はじめに(序文)】
血液疾患の多くは発症率が人口10万人あたり数人程度であり、稀少疾患である。総合病院であっても血液疾患の診療を行っていない病院も多い。それにもかかわらず、看護師が血液疾患について学ぶことの意義は何だろうか。
血液は全身を巡り、すべての臓器への酸素供給、栄養供給、ホルモン・サイトカインの運搬を行っており、さらに生体を病原微生物やがんなどから守り、止血・線溶機構により循環系を維持している。このことから血液疾患では全身のさまざまな症状を引き起こす。また多くの臓器疾患が血液に異常をきたす原因となり、貧血、易感染性、出血傾向などの血液症状を引き起こす。したがって血液疾患の病態生理を理解することは看護の基礎知識となる。
一方で、血液疾患の診断・治療法は専門性の高いものが多く、初学者には敷居が高く感じられることも事実である。化学療法、輸血療法、感染症治療、緩和療法などは臨床腫瘍学に必須の知識である。また科学の進展を反映して、診断法、治療法が目まぐるしく変化している。たとえば、分子生物学の成果である分子標的治療により悪性疾患の予後が著しく改善している。幹細胞生物学の成果である造血幹細胞移植は再生医療の成功例となっている。分子標的治療も再生医療も未来の医学を先取りした治療法である。これらの医療は専門家によるチームワークなくして成功しない。患者を中心としたチーム医療を円滑に行う上で看護師の果たす役割は大きい。
本書は、以上のような血液看護の特殊性と普遍性を学べる書籍を目指している。2002年に出版された本書の前身である『血液・造血器疾患の治療と看護』は幸いにして好評をもって受け入れられて版を重ねてきたが、10年以上を経て一部の情報は古くなっている。とくに、分子標的薬の登場によって疾患の予後は改善し、造血幹細胞移植技術も進歩が大きい。緩和ケアも早期より実施されるようになってきた。それに応じて看護の姿も変化している。前書の精神を失わないように今回新たに全面改訂することとなった。医療技術の進歩と看護の心をどのように融和させることができるのか。本書が新しい時代の看護師の要望に応えることができれば幸いである。

2015年1月
編者を代表して
安藤潔

※本データはこの商品が発売された時点の情報です。