乳房超音波診断ガイドライン/日本乳腺甲状腺超音波医学会

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編集:日本乳腺甲状腺超音波医学会
出版社:南江堂
発売日:2020年10月
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著者名:日本乳腺甲状腺超音波医学会 
出版社名:南江堂

用語の定義,検査法,判定法等の標準化のため刊行され改訂を重ねている,乳房超音波診断における指針を示す定本.今改訂では,WHO分類・日本乳癌学会分類の改訂を反映して病理の記載をアップデート.また,エラストグラフィやドプラ法,造影超音波の評価等を充実させた.検診と精査における診断上の考えかたの違いをより明快に記載し,日常診療においてさらに使いやすい内容となっている.

【書評】
乳房の超音波検査は,乳腺疾患の診療に必須のモダリティであり,近年の乳癌罹患率の増加,装置・診断技術のめざましい進歩と相まって,その有用性はますます高くなっている.本ガイドラインは2004 年の初版刊行以来,乳房超音波診断に用いる用語や検査方法,判定方法の標準化や普及に大きく貢献するとともに,日進月歩の変革に対応し時宜に応じて改訂が行われ,乳房超音波診断法の基本から最新の知見までを学ぶことができる手引書として多くの読者に支持され版を重ねてきた.

今回の第4 版では,診断機器や技術,画質の向上,乳癌診断法にかかわる規定の改定などを背景に,さらに明確でわかりやすく,新たな知見を盛り込んだ内容への改訂が行われている.本書の大きな変更のポイントの一つは,乳腺病理に関する日本乳癌学会の乳癌取扱い規約(第18 版)の改訂およびWHO分類(5th edition)の改定に伴う改変である.乳腺疾患の組織型の定義・分類の変更に準拠した記述内容の変更とともに,画像の大幅な入れ替えも行われている.画像診断を行ううえできわめて重要なポイントは,画像が示す所見の意味を十分理解し,それに対応する病理組織像を的確にイメージできることであろう.本書の特徴は,随所に組織像が提示され乳腺疾患の超音波画像と病理組織像との対比が明快に示されていることである.組織の性状と超音波画像との関連性(超音波組織特性)を理解することで超音波画像のより深い解析が容易となり,正確な診断が可能となる.超音波検診における要精検基準の改定も今回の大きな変更のポイントとしてあげられる.また,ドプラ法,造影超音波検査,組織弾性映像法(エラストグラフィ)の項目もさらに充実し,理解を深めるための工夫がなされており,新たなエビデンスに基づいた最新情報が盛り込まれている.

各領域にわたり粋を集めてわかりやすく編集された本書を読みすすめるにつれて,乳房超音波検査の全容を把握できる充実感と自信の深まりを実感することができよう.乳房超音波診断にかかわる多くの方に本書を活用していただくことを期待する.

臨床雑誌外科83巻4号(2021年4月号)より転載
評者●神尾孝子(東京女子医科大学乳腺・内分泌外科 特任教授)

※本データはこの商品が発売された時点の情報です。