


著者名:
沼居貴陽 出版社名:
共立出版
本書は,量子力学を初めて学ぶ学生が,量子力学に特有の概念を理解するとともに,ある程度の計算手法を身につけることを目的として書かれている。そして,量子力学の誕生以前から完成にいたるまでのオリジナルの論文を再構成し,筋が一本通った内容となっている。
まず,前期量子論における歴史的経緯を振り返ってから,波動関数,演算子,期待値という量子力学特有の概念を説明する。次に,3種類のポテンシャル(箱型ポテンシャル,調和振動子,球状ポテンシャル)を例にとって,計算を進めながら,数学的手法を身につけると同時に,量子力学特有の概念を理解できるよう工夫されている。計算については,導出過程をていねいに説明しており,学生が無理なく計算を追うことができると同時に,段階的に計算手法を身につけられる。また,特殊関数については,多項式展開という一つの概念でまとめられることを強調することで,学生が独力で導出できるように配慮されている。最後に,やや発展的な内容として,スピン,トンネル効果,摂動論についても言及している。スピンについては,相対論的量子力学から自然に導かれることを示している。入門書でありながら,固体物理学やレーザーについて学ぶうえで必要な内容も含んでいる。
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