著者名:
酒井聡樹 出版社名:
共立出版
本書は,わかりやすい文章を書くための術を解説した本である。一読で正確に理解できる文章を書く術を伝えることが目的だ。
この文章術の適用対象は,「読者にわかって貰うための文章」すべてである。例をあげるならば,学術論文・レポート・小論文・エントリーシート・評論文・意見文・提案文・説明文・案内文・報告文などである。インターネット上での情報発信文も含めてよいであろう。このように,学術文書・ビジネス文書・個人的な情報発信の文書までを対象に含めている。
本書は,「惹き込む文章」「楽しませる文章」「魅力を訴える文章」を書くための本ではない。しかし,「読者にわかって貰うこと」が前提であるのなら,そうした文章を書く上でも役に立つ部分があると思う。たとえば,何かを売り込むことが目的の文章の場合,「わかりやすくかつ惹き込むこと」が大切である。「わかりやすく」の部分については貢献できるはずだ。
本書の特徴は,100ページと短いながら,わかりやすい文章の書き方のすべてを解説していることである。その説明は,1) 文章術の前に知っておいて欲しいこと,2) 文章全体としてわかりやすくする術,3) 一つ一つの文をわかりやすくする術に及ぶ。1) では,文章を書く上での心がまえや,文章の理解とはどういうことかなどを説明している。2) では,その文書の内容をわかりやすく伝えるためには,個々の情報をいかに提示していけばよいのかを説明している。3) では,一つ一つの文の意味を,いかにして誤解なく伝えるのかを説明している。わかりやすい文章を書くためにはこれら三つを知る必要があり,そして,これらさえ身につければ十分である。それを 100 ページにまとめた。本書は,必要十分な文章術を,新幹線に乗っている間に理解できる本である。
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