著者名:
山本周五郎 出版社名:
新潮社
ひたむきに、ただ、ひたすらに――。苛酷な運命に翻弄される女と、一途な愛を貫く男。下町人情物の傑作二篇を収録。好評の「脚注」で読む、新しい感動。
貧しい横丁に研屋の祖父と二人きりで暮すおせん(『柳橋物語』)、名の知れた指物師の一人娘として何不足なく育ったまき(『むかしも今も』)。幼い恋を信じ、男の帰りを待ちつづける二人に、天変地異と大火事が襲いかかる。世間の荒波に揉まれ、半死半生の目に遭いながらも必死に生きぬくうち、二人はいつしか本当の愛に気づいてゆく―。おせん曰く、「幸太さん、あなたの苦しいといった気持が、辛かったと云った気持がどんなものだったか、そのときはじめてあたしにわかったのよ」苛酷な運命に翻弄される女たちと、愚直なまでの愛を貫き通す男たち。思わず目がしらが熱くなる、下町人情の傑作二篇。
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