[栽培について]
しだれ梅はすべての枝が下を向いて伸びてしまうので、放任すると木が全く育ちません。優雅な姿に仕立てるためには独特の剪定方法を行います。
ある程度できあがった木の場合、花の終わった直後に下を向いて伸びた枝(花をつけた枝)を付け根 10 センチ程を残し思い切って切り詰めます。
このとき、図(1)のように枝が下がり始めたあたりで上を向いた芽を残して切ることがポイントです。

その後、残した枝から数本の新芽が伸びだします。図(2)のように上向きの芽はカーブを描いて下へ垂れますが、真下へ向いた芽は直角に下へ伸びるので付け根から切り取ります。
同時にこれだけたくさんの枝を切り詰め、再度たくさんの枝を伸ばすため寒肥やお礼肥として、しっかり肥料を与える必要もあります。
このように毎年徐々に木を育てていきますが、切り詰め方を加減すればほとんど木の大きさを変えずに毎年花を楽しむことができます。そのため、鉢植えや狭い庭でも楽しむことができるのも、しだれ梅の優れた特長です。
また、木の高さを伸ばしたい場合は、一番上部から伸びた枝に支柱を添え、ある程度まっすぐに伸ばして芯を作る必要があります。苗木から育てる場合や鉢植えで購入したものを仕立て直す場合も同様で、支柱を立てて芯を作ってやります。
病気はほとんど出ませんが、毛虫やアブラムシがつくことがあるので、園芸用の殺虫剤で防除します。春から初夏に出る新芽が縮れる場合は、アブラムシが芽の中にいることが多いのでオルトランなど浸透性の薬を与えて防除します。予防的に前もって粒剤を散布しておくのも良いです。
[鈴鹿の森庭園]
梅の花は昔から早春の花として多くの人に愛されてきましたが、最近はしだれ梅の華やかさが注目され特に人気が高まっています。しだれ梅は通常の梅と違い、すべての枝が柳のように優雅にしだれ、その枝にびっしりと美しい花をつけるため、大変に華やかです。
各地にしだれ梅を集めた早春のお花見名所としての梅園もありますが、赤塚植物園グループが運営する「鈴鹿の森庭園」は日本の伝統園芸文化であるしだれ梅の「仕立て技術」の存続と普及を目的として誕生した研究栽培農園です。6000坪もの広大な敷地の中には樹齢100年以上と思われる呉服枝垂(くれはしだれ)の古木をはじめ、約200本もの古木名木が集められ、開花時期のみ日本有数のしだれ梅の庭園として一般公開されます。
伝承されてきた技術により美しく仕立てられたしだれ梅は多くの花をつけ、訪れた多くのお客様からは「まさに桃源郷のようだ」など称賛の声をいただいています。
見ごろの時期は、気温など環境によって変動いたします。
開花状況や交通アクセスは公式ホームページをご覧ください。